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理事長の連載コラム~今月のひとこと~

立ち直りには「縁」が必要

2021-11-22
 
 11月15日に、全国居住支援法人協議会主催の21年度2回目の研修が、オンラインで開かれた。内容は、犯罪学が専門の浜井浩一・龍谷大学教授による講演「(刑余者に)求められる居住支援法人の役割~居場所と出番~」と、3つの自治体(西東京、福岡、徳之島)から居住支援協議会の取り組み報告があった。浜井浩一さんの話を中心に印象に残ったことをあげてみたい。
 
 スケアード・ストレイトプログラムというのをご存じだろうか。BSで時々やっているのを見たことがあるが、非行少年を、凶悪犯罪者が収容されている刑務所に連れて行き、受刑者の中に少年たちを放り出し、非行の先にある具体的な現実(過酷な刑務所生活や未来の自分かもしれない受刑者)に直面させ、自らの行為の問題性に気づかせ、反省させることで更生を促す反面教師プログラムだ。態度はてきめん変わるが、再犯率はかえって上昇するという結果が出ている。厳罰化によって犯罪率は逆に増えている。
 
 なぜか。「ペナルティの強化によって、反省したとしても、やり直すための社会的環境や条件がなければ、結局やり直すことは難しくなる」と、浜井さんは言う。満期出所(縁を持たない)で出てくる人たちの再犯・累犯率が高いのは、このことによる。2006年の1月に「刑務所に戻りたかった」と、下関駅舎(重要文化財)に放火して懲役10年の判決を受けた当時74歳の知的障害の男性(前科10犯)の来歴は、そのことを端的に物語っている。
 
 「人生で一番つらかったことは?」という、後に身元引受人となった抱撲の奥田知志さんに対してこの男性は、「刑務所を出たとき、だれも迎えに来なかったこと」と答えている。人生の半分ほども刑務所で過ごして来た男性は、福岡刑務所を出所して事件を起こす8日の間に、警察に保護されたり、福祉事務所に連れて行かれたりと、8つの公的機関に接触。生活保護を求めるなどしたが、当時の「水際作戦」とも言える門前払いによって公的支援は受けられなかった。
 
 現在、抱撲の施設で暮らす男性は、週4日はデイサービスに通い、「いまが一番幸せな時間」とカラオケや体操などを楽しんでいるという。過去とちがうのは、「居場所と出番」があることだ。「人は一人でも反省はできるが、更生は一人ではできない」、「帰住予定地と身元引受人(縁)の確保」が、再犯防止のカギになると、浜井さんは強調していた。実際この間、地域生活定着支援センターやくれんども運営している自立準備ホームなど、司法と福祉の連携が具体的に施策化され、いわゆる厳罰化シフトが見直されてきた面もある。
 
 「最良の刑事政策は最良の社会政策」ということばがある。孤立化が進行する地域、社会のなかにあって、くれんども、そうした新しい縁(コミュニティ)をつくっていく、一翼を担うことができれば望外の喜びだ。

(小河 努)

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