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理事長コラム~今月のひとこと~

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何が「スペシャルズ」なのか

2020-11-18
 先日、フランス映画『スペシャルズ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たち~』(エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督。2019)を観た。どこからも断られる重症の自閉症の青少年を24時間支援する、赤字で無認可の団体「正義の声」を運営するブリュノと、社会からドロップアウトした青年や移民たちを無資格で雇用しながら、就労支援団体「寄港」を運営するマリクを軸にストーリーが進む。支援するブリュノはユダヤ人であり、マリクはイスラム教徒である。
 
 今日のフランスにおけるマイノリティが、この映画には多く出て来る。が、そのことが声高にアピールされることはない。ただ、重度の障害者を含め、仕事を求め居場所を求め、フランス社会に、多様に必死に存在している姿が描かれるだけである。映画のシナリオは実話に基づくという。
 
 電車の非常ベルにこだわりを持ち、「お母さん、殴っていい?」とつぶやきながら、何年も、大好きなクルクル回るもの、たとえば洗濯機関係の工場で働くことにチャレンジするジョセフや、頭突き防止のヘッドギアをつけて、高速道路を歩いたり、ホテルの部屋から電子レンジを投げたりするヴァランタンと、それでも向き合おうとする、やはりドロップアウトして「寄港」にとどりついた黒人の若者ディランなどの姿がドキュメンタリータッチで描かれる。
 
 支援のあり方としては、あり得ないものもあるのかも知れない。が、私たちが忘れそうになっている熱いスピリッツがそこにあった。当事者、支援者それぞれに「スペシャル」な光を放っている。ふり返ってみれば、ボランティア時代の自立生活支援にも、あるいはくれんどのスタートの頃にも似たようなものがなかっただろうか。
 
 淘汰されるかも知れないという冒頭の長谷川さんの不安が、実は健常者の不安の裏返しだということに気がつけば、もしかしたら、負のスパイラルは止められるかも知れない。

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