理事長コラム~今月のひとこと~
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民主主義はマイノリティの前で立ち止まる?
2010-04-01
08年末現在の「在留外国人統計」による5歳~14歳の外国人登録者の総数は13万4206人、それに対して、同年5月1日現在の「学校基本調査報告書」による小学校、中学校の外国人児童・生徒数は6万8382人、外国人学校生徒数(2万5899人:この中には幼稚園生も大学生も含む)をあわせても9万5899人である。
その差の4万人弱は、不就学か、あるいは外国人学校(各種学校)としても認可されていない「外国人学校」に就学しているかである。
京都市立近衛中学校校長は、同校の生徒及びその保護者に、外国人には義務教育の権利も義務もないとして、保護者に提出させた退学届を受理し生徒を退学させた。このため教育を受ける機会を喪失させられたことに関して国家賠償等を求めた裁判で、大阪高裁は親子に完全敗訴を下した。
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インクルージョンのかけ声とは裏腹に、分離と選別、排外とも棄民とも言える動きが、じわじわと拡がっていくようにもみえる。12万人を超える不登校の子どもの数、広島だけでも300人を超える高校入試における定員内不合格者数などは、その一つの表徴と言えまいか。
そうして、漂いを始めた子どもたちの一部が、福祉に流れ着き、あるいはその網の目をくぐっていく。
民主主義は工場の前のみならず、マイノリティの前で立ち止まるのか。