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理事長コラム~今月のひとこと~

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でくのぼう

2010-05-03
 反貧困ネットワークの湯浅誠さんだったか、貧困と貧乏はちがうという。貧困は“溜め”のない状態で、貧乏というのは、それなりにつながりやまだ“溜め”のある、ある種の豊穣さを湛えた状態ということになろうか。しんどいなかでも、この“溜め”をどうつくるのか考えないといけないといま思っている。
 
 最近、いつの日か障害者が一人の市民としての希望を発信していく基盤の一角となるはずだった2つの事業受託を外した。一つは半年前から準備に入り、一つは3年前から我慢にガマンを重ねて辛苦して準備してきたものである。しかしダメだった。上唇に熱の花を出したり、半日ほど呆けた状態に陥ったりしたが、何とかそれで済んだ、ように思う。
 
 ふり返ってみれば、私たちは、負け続けて来た。勝つことなどかつてなかった。しかし、しぶとく地域にはぶら下がって来た。考えてみれば、50年100年と営々と背負って来た荷が、2年や3年で降ろしてもらえることなどありようはずもない。もう一度、目の前の当事者の現実から、当事者といっしょに、賽の河原かも知れないこのシャバで、しぶとく石を積んでいくよりほかない。このままでは終わらない。貧乏のなかでも、辛いなかでも、何とか“溜め”を作らないといけないのだ。
 
 宮沢賢治は『雨にも負けず、風にも負けず』の一節でこう言っている。
 
日照りの時は涙を流し/寒さの夏はおろおろと歩き/みんなにでくのぼーと呼ばれ/褒められもせず/
苦にもされず/そういうものに/わたしは/なりたい
 
 私たちは貧乏のなかで、この「でくのぼー」になるのだ。

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