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理事長コラム~今月のひとこと~

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障害は負の遺産か

2011-01-26
 年末から年始にかけて、気になって切り抜きテーブルに置いていた新聞の記事があります。水俣病が「奇病」や伝染病などではなく、チッソ工場から垂れ流していた有機水銀中毒であることを突き止めた原田正純医師のことばです。
 
「人類は失敗するんですよ。起こっちゃいけないけれど、起こった以上、負の遺産として残さなければならない」(12/31朝日)
 
 数日経って、気になっていた理由に思い当たりました。最初は「人類は失敗する」というフレーズに惹かれて切り抜いたのだと思っていましたが、どこか腑に落ちない気分に囚われていたのです。その「気になっていたところ」というのが、「負の遺産」というフレーズでした。
 
 わたしが最初に水俣病患者に「出合った」のは、ユージン・スミスの写真集だったと思いますが、それは当時のわたしにはまさしく患者というよりは障害者そのものでした。むろん原田医師の本意は著書などからも違うところにあることを承知で言っているのですが、その障害を受けたその後の人生が「負の遺産」として、マイナスの人生や生活として教訓化されるだけで受け取られるとしたら、わたしにはたまらないのです。水俣病患者にはそれでも「その後」を生きたくらしというものがあり、わたしと同世代の胎児性患者にもわたしと同じだけ人生を積み重ねて来た歴史というものがあります。
 
 私たちの目の前にも、障害を受け、それをマイナスに受けとめて生きている当事者や家族、当然視する周りのまなざしが今も厳然とあります。新しい年2011年が、「それでも生きていてよかった」と、少しでも希望の持てるつき合いや周りの視線を変えていくことに、くれんどとして一つでも寄与できることを願っています。

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