理事長コラム~今月のひとこと~
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緊急時ステイ・居住サポートの制度化を
2011-10-17
2012年の4月から、短期入所(ショートステイ)に対する猶予期間が切れる。本来は夜勤にしなければならないところを、行政からの報酬単価の低さゆえか、これまでは労基署で届けて仮眠が確保されるなど休息が担保されれば、宿直対応(手当)でよかった。「よかった」というのは情けない話だが、それほど国からの「報酬」は低い。障害程度区分別人口でもっとも多いのは区分3だが、この区分の夕方から朝までの単価は2310円に過ぎない。もっとも重い区分6でも5810円である。
くれんどは入所施設を持っていない単独型事業所である。定員は5名+緊急枠を1名設けて来た。どんな人でも断らない。男性と女性別に最低2名のスタッフが泊まる。このサービスに対する家族や本人のニーズは高い。急な泊まりは本人にとって不穏になりやすい。それで抱き合って寝たら(仮眠の保障が出来ないので)違法と指導を受けた。
それでも1泊16時間4500円の宿直手当+6時間の勤務で何とか対応して来た。もちろん、フォーマルな制度サービスに不足分を実費で上乗せすることも出来ない。そこへ来て、来年から夜間勤務対応となるという。人件費は、ひとによって異なるが、常勤の場合夜間の割増賃金を含めて時給2000円としても、16時間で約30000円、2人で60000円の人件費がかかる。それに対して収入は通常の5人、平均区分が5としても、25000円にしかならない。
2009年のたまゆらの火災で起きた10人の入所者の死亡や、夜間職員による虐待頻発はひとごとではない。一人分の人件費さえ出していないのに、なぜ国の責任が問われないのが不思議である。事件は予見可能である。
緊急時支援から、地域生活移行へむけての体験宿泊等家族や本人のニーズは高い。国はなぜ担保しようとしないのか。