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理事長コラム~今月のひとこと~

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福祉と更生保護

2011-12-30
 日本の近代の福祉は実は更生保護の歴史と共に始まった。2007年の社会福祉士の国家試験(問題103)に出た北海道に「感化院」を創設した留岡幸助の文章の一部を紹介する。
 
 …骨折りて労働さえすれば馬鈴薯も葱も善く出来ると。しかして…不良少年も面白みを感じて仕事に精を出すようになります。これがすなわち自然の感化であります。(『自然と児童の教養』留岡幸助1924)
 
 現状はどうだろう。犯罪率は高齢者の窃盗を除いて一貫して低くなっているのに、警察への通報率は年々高くなり、06年の内閣府調査によると8割以上の人が「治安は悪化している」と答え、同じ8割以上の人が死刑制度を支持している。しかし実際には、1年間の受刑者3万人のうち約4割が窃盗・詐欺、知的障害の疑われる人がそのうち4人に1人、そのほか無職、高齢者など社会的基盤のぜい弱な人が多い。そして、知的障害者の6割が前回の服役から1年未満で再犯に及ぶ。かれらのほとんどは、満期で出所する。仮釈放がつかないのは、お金がないこと、あるいは身寄りがないからである。再犯理由の大半は「生活苦」と社会からの「排除」である。証拠をあげよう。刑務所でのアンケート調査である。刑務所に戻って来た理由の1位は「仕事を得るため」(約4割)、2位は「食べるため」(約3割)。ブラックジョークなどではない。現実である。
 
 なぜか。ひと言で言えば、福祉施設でさえ対象の障害者、高齢者を引き受けない現実が存在するからである。世界保健機構(WHO)の発表によれば、人口の2~3%は障害者。実際、日本の身体障害者も精神障害者(通院者)も300万人をゆうに超えている。しかし、知的障害者のみは53万人である。かくして、約300万人の「知的障害者」が社会からの関係を断たれて「流浪化」している。

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