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理事長コラム~今月のひとこと~

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10周年

2012-03-20
 いま、これを書いているのは3月20日である。中井きょうだいの自立生活支援と知的障害者の地域生活支援を柱に、事業を立ち上げてからまるまる9年が終わろうとしている。これが配られる4月には10年めに入っているだろう。この間、制度改変の荒波にもまれながら、補修を重ね、何とかかんとか船を沈めないで乗り切って来たというところか。当然船を降りたひともあれば、反対に乗り込んできたひともある。そしていま、併せて100数十名の当事者とスタッフが21の事業をこのつぎはぎだらけの船で担っている。
 
 「弱さをきずなに」「当事者主体のスローライフの実現を」「地域社会とのコラボレーションの実現を」スローガンに、メニューを積み上げて来た。どの理念をみても道は未だし、しかし、課題は徐々に具体的に見えて来た。弱さをきずなにするためには、弱さをまずは仲間のなかで情報公開できればいい。緊急時のレスパイトがあればいい。当事者主体のスローライフを実現するためには、自立生活を実現するための体験宿泊や生活保護で24時間ヘルパーをつける暮らし、年金でのひとり暮らし、シェアハウス、夜間の泊まり付きホームがあればよい。
 
 「慢性疾患」の時代には、地域生活をしながら病気や障害と向き合う。そこで問われることは社会である。環境である。システムである。これが社会モデルである。
 
 「健常者」と思っている人びとも、このようにいつか障害を持ち、年を取って、それでもこの地域社会で生きていく。「合理的な配慮」を検討していくことは、結局、この地域社会を自分が住みやすいものにする営みであろう。障害を持ったために合理的な配慮を必要とする人々の生活や人生を支援する営みは、当面この社会でマイノリティを形成している集団に対するクラスター・アドボカシーの営みと表現できる。法や制度はおそろしく不十分である。そこに、NPOの使命もまたある。
 
 ともかくも10周年を迎えた。ささやかな記念誌をつくり、この10年の来し方を1年間かけてゆっくりふり返っていくことにしよう。

地域ネットくれんど
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6.当事者活動

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地域ネットくれんどは、障害をもつ人たちや高齢者が、地域社会でいきいきと安心して暮らせる、トータルシステムの構築をめざしている、非営利の事業所です。

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