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理事長コラム~今月のひとこと~

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出生前診断の増加ともう一つの暮らしの可能性

2012-04-24
 「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」という強制断種などの露骨な優生思想は、1996年優生保護法から母体保護法への法改正とともに、表向き消えた。しかし、母体の健康を損なう怖れがあるという「健康条項」「経済条項」の拡大解釈によって、障害者の出生前診断-中絶は維持されむしろ進行していることが、先ごろ発表された日本産婦人科医会自身の調査結果にも表れている(4/5付朝日)。
 
 日本では、70年代から羊水検査やエコー検査などの出生前検査が始まり、90年代からは母体血清マーカーなどの血液検査が簡便なことから広がった。エコーも精度が上がり、染色体異常の可能性を示す首の後ろのむくみの厚さや臓器の変形もわかるようになったとされる。
 
 調査では、ダウン症、水頭症などを理由に中絶したとみられるのは、1985~89年は約800件だったのが、95~99年は約3千件、05~09年は約6千件と急増している。1年間に全妊娠者の2.9%約3万人(08年)が受けている。有名なスコットランドでの調査では、検査の普及によって、二分脊椎症児の出生数が年500人(1970)から2人(1996)に減少したと発表されている。支えた論理は、生まれた場合の「社会的なコスト」だ。
 
 さて、わたしたちの目の前にいるのは、「その後」を生きる当事者と家族、サバイバーである。今回の数字に典型される怖ろしく不十分な法と制度と社会意識は、それぞれの当事者、家族、支援者に、あらためてそれでも何を発信し、何を創っていくのかを問いかけている。

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