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理事長コラム~今月のひとこと~

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分離か包摂か

2013-05-26
 この4月26日、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案」(差別解消法案)が閣議決定され、やっと国会に上程された。しかしこの差別解消法案、自治体が事例を踏まえて差別解消のための措置を取ること、そのための地域協議会(NPO法人等を構成員として加えることを明文化)を設置することを盛り込んではいるが、肝心の「不当な差別」そのものの定義があいまいで、「合理的配慮」が民間事業者においては努力義務に留まっているなど、成立したとしてもどれだけ実効性を持つか先行きは怪しくなって来ている。
 
 「合理的配慮」の先取りと言えるのかどうか、この4月から56人以上の民間事業所の法定雇用率が、1.8%から2.0%に引き上げられ、精神障害者などはこの10年で10倍の雇用を生んだと、新聞各紙が報じている。そして、生徒の増え続ける特別支援学校では、一般就労へ向けての作業学習がヒートアップしている。共生社会を実現するには、当然本人の努力も必要だということなのだろうか。自殺者3万人社会、不登校12万人学校社会と言われるなかで、その環境調整能力をより個人の側に求めることがどのような結果を生むのか、私自身は、聴覚障害者が歩んで来た道をたどればおのずから答えが導き出せると考えている。さらに、在日外国人を労働力の調整と治安対象としてしか捉えていないかに見えるこの社会の現実のなかで、新たな労働力として(発達)障害者に着目したとしても、このままでは、共生社会を実現することにはならないとも思う。
 
 日本の社会は依然として分離・隔離社会を強化しようとしているのか、それとも包摂型社会を本当に実現しようとしているのか、隣人の一人として私たち一人ひとりにも問われている。

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