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理事長コラム~今月のひとこと~

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何が中立・公正か

2013-07-22
 昨春「生活保護バッシング」が突如開始された。タレントの親族が生活保護を利用していることに関して、自民党議員らが騒ぎだし、メディアが追従し、当時の政権与党・民主党までもがバッシング騒動に加担した。あえて「敵」を創出して、その「敵」をこれ見よがしに叩いてみせる。それにより自らの政治的影響力を高める。政治の場では昔からお馴染みの手法ではある。そして、今や強引になりふり構わず、生活保護制度の改悪が進められている。さらに、生活保護改悪はヤミ金・ブラック企業・性風俗産業にとっては絶好の「追い風」になるだろうと予測されている。
 
 けれども、このとき「敵」に設定されるのは、社会の中で最も弱い立場におかれた人たちだ。ほとんどの受給者にとって生活保護費とは、自分と家族の生活を支えるための唯一の手段であり、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(憲法25条)である。
 
 その上、もともと日本の生活保護の捕捉率(基準以下の人のうち、実際に受給している人の割合)は、他のいわゆる先進国と比べてかなり低い数値だ。国によって制度の中身が異なるので単純な比較は出来ないが、日本弁護士連合会によれば、2010年時点でフランス91.6%、ドイツ64.6%に対して日本は15%~18%に過ぎず、人口比の利用率はフランス5.7%、ドイツ9.7%に対してわずか1.6%。要するに生活保護制度の問題は、不正受給にあると言うよりも、最後のセイフティネットとしての役割を十分に果たさず、多くの自殺者・餓死者を出しているところにあると言わざるを得ない。
 
 「中立」「公正」というのは、お互いに同じ力関係のなかにはあり得るかも知れない。しかし、圧倒的に力の強い側と力の弱い側があったときに、「中立」「公正」というのは、実は強い側に協力していることを、私たちは自覚しておかなければならない。
 
 この中立・公正ポーズ、私たちNPOが事業委託や事業申請をする際にもよく言われることばではある。指摘する側やすでに「恩恵を受けている」団体が、中立であったり、公正であったりすることがめったにないことを、私たちはよく知っている。

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