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理事長コラム~今月のひとこと~

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「ことば」の歴史と背景、ヘイトスピーチ②

2014-03-26
<障害、障碍、障がい、しょうがい>
 「しょうがい」ということばは、明治以降に作られた造語です。戦前は「障碍」と表記したようです。「障碍」と書けば、漢字の意味合いからして周りにバリアがあるという今のICF(国際生活機能分類)に近い考え方になるでしょうし、「障害」と書けば、さわり、さまたげ(したがって克服すべき課題)は、本人の中にあるというICIDH(国際障害分類)の考え方に近くなるでしょう。
 
 何とかそのイメージを和らげようと、くれんどでも、「しょうがい」と表記したり、「障がい」と表記したり、「障碍」と表記したり、いろいろとみなさん、苦慮しているように見えます。私自身は、「やわらかいことばを使うことで、障害者が置かれている現実をごまかさないでほしい」と79養護学校義務化当時に脳性マヒ者から指摘されたことから、以来、それまで使っていた「障害者」とカギカッコをつける標記を止め、未だに障害者という漢字表記を使用しています。
 
 この問題の本質はしかし表現の問題ではなく、「原因が何であろうと実際に生活を営む上で痛い、不便だ、苦しいということがあったときに、それを補う義務が社会にはある」(立岩真也立命館大学教授)ということだと思います。それが実現出来れば、障害者は障碍者となるのか、特別なニーズを必要とする者となるのか、ひらがな標記にするのか、あるいはことばそのものが死語になるのか、その時代のコンセンサスが決めればいいことだと思っています。
 
<療育>
 「療育」ということばは、「肢体不自由」ということばと共に、故高木憲次東大教授が戦後に作った造語です。「療育」とは、医療と育成のことであり、現代の科学を総動員して不自由な肢体を出来るだけ克服し、それによって自活の道が立つように育成することを指していました。この理念によって、60年代、脳性マヒ者の手術と訓練が熱心に行われました。それは「善意」からとも言えますが、パターナリズム(温情・父権主義)を生み、結局は施設への「収容政策」を補完することにしかなりませんでした。
 
 むろん、制度上の放課後等デイサービスを始め、「療育」を全面的に否定するものではありません。ただ、その成り立ちと背景、歴史を知っておくことは、障害者にかかわる私たちの責務であると考えます。

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