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理事長コラム~今月のひとこと~

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「ことば」の歴史と背景、ヘイトスピーチ③

2014-04-29
<発達保障と共育・共生>
 山下恒夫のように「反発達論」を唱える学者もあり、浜田寿美男のように「あえて発達心理学者を言うことにしています」とカッコヅケで「発達」を使う学者もいますが、「発達」ということばそのものには問題がない見方がおおかたです。野崎泰伸(立命館大学教授)は、発達を「他者と出合い、あるいは出合い損ねながら、世界を感受していくプロセス」と定義しています。私は、これが、今のところしっくり来るかなと思っています)。
 
 ただ、「発達権」と言うとき、そこには一つの政治的な立場までも含んだことばだということを知っておく必要があります。代表的な発達保障論を紹介します。「どのような障害を持っている子どもでも、健康な子どもと同様に無限の発達の可能性を持っている。その発達を保障するために、適切な条件整備を権利として保障する必要がある。その場所が、養護学校だ」(京極高宣)。
 
 79義務化当時、発達保障論者と議論したことを思い出します。そこで、彼が言ったことを未だに思い出します。「人間は一生発達するのだ。その権利を(作業所や入所施設でも)保障するのが私の仕事だ」。やれやれ、しんどいなあ、一生発達しなければいけないなんて、と最後は茶化してしまいましたが、これが発達保障論の本質とも言えます。実際、茂木俊彦(東京都立大総長)などは、発達保障は幸福の保障だして、実際には養護学校(特別支援学校)への分離教育と、結果として施設への収容政策に加担していきます。
 
<最後に>
 「本質は現象し(現実に表われ)、現象的なもの(現実)は、本質を表わす」と言ったのは哲学者のヘーゲルです。例えばそれぞれのことばには必ず背景があるということです。私たちは、知らず知らずのうちに使ってしまうことがよくあります。マルクス流に言えば、「世の支配的な思想は支配階級の思想である」からです。
 
 問題はその後です。ニュースキャスターの筑紫哲也が、番組の中でしてしまった不用意な発言の背景にあるものにその後向き合ったように、私たちもしてしまったあと、あるいは、当事者の痛みを聞いたあとに、何をなすべきかということが問われていると思います。それは、決してご機嫌を取ることではありません。自分の問題として、くれんどの課題として考えていくということです。それが、社会的立場を自覚するということです。(了)

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