本文へ移動

理事長コラム~今月のひとこと~

バックナンバー

世界は2つある

2014-05-28
 個人の主体性の尊重や多様な価値観は、憲法13条を持ち出すまでもなくだれも異論がないように見えます。そして社会はその通り、いっけん多様化と主体の尊重へむけて大きく舵を切っているようにも見えます。かつての聴覚障害者も、手話という固有の言語文化をもつマイノリティ(少数者)として見られるようにもなって来ました。日本政府が今年の1月に批准した障害者権利条約では、インクルージョン(社会包摂)を前提とし、移動・情報・司法・医療・介助・住宅・教育・勤労のアクセス権保障、障害者が住むことができるような社会設計に向けて、ユニバーサルデザインや情報保障をすること、差別的な取り扱いをする、強制入院や成年後見制度、欠格条項、優生思想を禁止するなどの「合理的配慮」も求められています。
 
 一方で、新型出生前診断・デザイナーベイビー、障害に配慮した個別・分離教育、要支援者を切り捨てる改正介護保険法の動き、改正脳死・臓器移植法の施行、そして尊厳死・安楽死の法制化など障害者・高齢者を切り捨てる議論が行われ、社会保障費は削減され、分離・隔離政策が進行し続けている現実があります。さらに、たとえば生物の種類や言語の数に目を転じると、むしろグローバル化のなかで世界は「単一化」しているという見方もあります。世界の言語の数は、現在約5000~6000と言われていますが、今世紀中にはその2割から6割が消滅すると言われています。
 
 こうした現実を見ると、世界は未だ分離と包摂(インクルージョン)の間を揺れているように見え、悲観的に言えばアノミー(無統制)化しているようにも見えます。
 
 私たち地域ネットくれんどは、さる5月17日(土)の2014総会で、たとえば目の前の当事者の苦労や(手話に代表される)誇りのなかに、一つの答えともう一つの世界へのイノベーションへの希望は隠されているとする事業計画を採択し、もう一つの世界の構築へむけての新たな前進を誓いました。

地域ネットくれんど
広島県呉市安浦町水尻1-3-1
TEL.0823-84-3731
FAX.0823-84-4041
-----------------------
--------------
1.地域生活支援
2.子ども・家族支援
3.地域協働
4.企画イベント

5.養成研修
6.当事者活動

-------------------------------------
地域ネットくれんどは、障害をもつ人たちや高齢者が、地域社会でいきいきと安心して暮らせる、トータルシステムの構築をめざしている、非営利の事業所です。

TOPへ戻る