理事長コラム~今月のひとこと~
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「遊園地に行きます!」
2016-01-26
第26回の介護福祉士の国試につぎのような問題が出ていました。
【問題91】自閉症スペクトラム障害のあるEちゃん(5歳)とのコミュニケーションとして、適切なものを1つ選びなさい。
1~4(略)
5「Eちゃんは、これから遊園地に行きます」
正答はこの5番です。「肯定的な表現方法を用いて、具体的な行動を指示している」ことがその理由だと中央法規の解説書には書かれています。
しかしわたしには、違和感があります。たとえば、年寄りに対して、このようなことば遣いをするでしょうか。相手が「行かない」と言っているのなら別ですが、介助者からこんなことばをいきなりかけられたら、私なら、たぶん「お前が一人で行け‼」とか「何様なら‼」などと悪態をつくと思います。
実は、このような声かけは、療育や障害福祉の現場で使われる言い回しです。みなさんにも思い当たる人がいるのではないかと思います。しかし、保育所や学校においても、「これから遊園地に行きますよ」とは言っても、このような言い方はほとんどしないのではないでしょうか。
わたしが、学校に勤めているころは、ろう学校や養護学校においても、こういう声かけは聞いたことがありませんでした。が、最近の特別支援学校や支援学級では、よく使われるといいます。
一方で共感することの大切さを言いながら、その実、他者の排除が進んでいる現実を、こういう言い回しからも感じてしまうのは、年寄りの単なるヒネクレでしょうか。