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理事長コラム~今月のひとこと~

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心はどこに在るか

2016-07-31
相談にとって大切なことの一つは、「聴く」という姿勢である。漢字をばらしてみると、「耳+目、心」に分解できる。聴く側が支援者であると仮定して、「耳+目」はわかる。しかし、「心」というのはやっかいだ。わたしに心はあるのか。あるとすれば、どこにあるのか。脳の神経生理の過程として説明されてもピンと来ない。おまえの心で聴くんだと言われてもやはりピンと来ない。
 
 自分の心の所在が瞭(アキラ)かにならなければ、相手の心の所在もまた心許ない。
 
 いま、目の前に人間で言えば90を超えたイヌがいる。このイヌに心が存在すると言えるのか。やはり藪の中だが、ほかの家族が目の前に現れたときと私とでは、明らかにその白濁したそのまなざしがちがう。ふと、腑に落ちた。「心」とは、このまなざし、「通い合い」つまり両者のはざまに生まれるのではないかと。
 
 認知心理学者の下條信輔が、『まなざしの誕生』の中で次のように書いていることを鷲田清一が紹介していた。
 
 「心を持つ者」として扱われることによって、また、そのことだけによって、心は発生し成長するのだ。
 
 相模原事件や池田小事件への一般的な世論に対して言いたいことは以上だ。相手を感情のないサイコパス(反人格障害)とか元々のモンスター(素因者)と断罪するだけでは、少なくとも私たちの内部に巣食う障害者へのマナザシもまた変わることはないだろう。お互いの関係の変容に対する希望がなければ、相談者による語りかけも意味もなさない。

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