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理事長コラム~今月のひとこと~

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施設の地域移行はすすむのか

2016-09-27
 『金八先生』シリーズで、桜中学校に高齢者のデイサービスが併設されたのを覚えている人は多いだろう。しかし、90年代の後半になって、「桜中学校」のような、学校開放=地域の拠点という流れが徐々に変質していくなかで、それに息の根を止めたのが2001年の大阪教育大付属池田小学校事件だった。池田小学校事件は、もう一つ、先の医療観察法を生んだ。
 
 「障害者」の起こした事件は、このように「社会防衛論」に利用され、インクルージョンの流れをせき止めて来た歴史が一方である。
 
 いま、厚労省においては「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」が発足し、「再発防止」のために、①施設における防犯対策と、②医療観察法(保安処分との根強い批判がある)の強化がうたわれ、共に生きる地域福祉の流れに逆行する事態が進行しているように見える。そして近々出るであろう「施設の防犯対策強化通知」は、皮肉なことに、施設を「要塞化させる」ことで、障害者関係の事業所みずからの首を絞めさせようとしているとしか私には思えない。世の差別と偏見は、さらに拡大再生産されていくことになるだろう。
 
 相模原事件の容疑者は、言ってみれば、事実ネット等で「代弁者」としてのカレへの「喝采」が拡散しているように、私たち自身の「身内」であり「分身」だと思わないわけにはいかない。わたしたち自身のなかにも巣食っている社会の断面(本音の一部)である。要塞化すれば、外部のみならず、内部からも密室化した分だけ事件は増えていくことだろう。排除と隔離では、私たち自身の内なる優性思想は克服できないことをそろそろ知るべきだ。

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