本文へ移動

理事長コラム~今月のひとこと~

バックナンバー

ここでしか出来ないもの

2016-10-27
 先日、荒れていた高校に就職したころをふり返る機会があった。荒れに荒れ、シンナーを吸い、ときに校舎内をバイクで乗り回す生徒もいた。「こんなボロ学校、来たくて来たんじゃない!」と泣き喚きながら、教員も殴った。組合や高同教(解放教育・同和教育の教職員団体)では「教師が最大の教育条件である」というスローガンが謳われていた。そういう学校から早く抜け出したいという教員の一方の本音に自ら歯止めをかけようとしたのである。70年代の後半から80年代の初めにかけての1コマである。
 
 そんなことを思い出しながら、ふと、くれんどに来ていることを、障害当事者や職員がどのように受けとめているのか気になった。もちろん、これまでにも何回かそのことにはふれ、「弱さをきずなに」という理念の1つは、そのことを踏まえている。気になったのは、あるいは言いたいのはそのことではない。当事者の置かれている現実、隠された思いと、かかわる職員に意識のギャップがありはしないのかということである。
 
 もう一度、「ここにしか来るところがなかった」当事者の現実を問い直し、「ここにいること」の意味を考えなくてはならないと思ったのは、7月26日に起きた相模原事件のときである。
 
 大きな入所施設、コロニーだという前提は違うが、2/14の参議院議長にあてた手紙のなかで植松聖は、「障害者は不幸しか生まない」「保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳」と断じている。この「確信」は植松聖がやまゆり園で働いている間に持ったのだと私は思う。その「確信」を持たせたのは、あるいは変えることが出来なかったのは、職員でなくして果たして誰だったと言うのか。
 
 そういう意味においてまた、くれんどで働く私たちのしごとは明確だ。自ら(社会)のなかに潜む「植松聖」と向き合うこと、その自覚を持ちながら、それでも当事者も、そして自分も、この社会に生きていていいという希望を語ることの出来る社会、事業をつくっていくこと。支えられる側が逆に支え手となって、地域社会を支え、変えていく主体となること、多様なライフモデルを構築すること。……

地域ネットくれんど
広島県呉市安浦町水尻1-3-1
TEL.0823-84-3731
FAX.0823-84-4041
-----------------------
--------------
1.地域生活支援
2.子ども・家族支援
3.地域協働
4.企画イベント

5.養成研修
6.当事者活動

-------------------------------------
地域ネットくれんどは、障害をもつ人たちや高齢者が、地域社会でいきいきと安心して暮らせる、トータルシステムの構築をめざしている、非営利の事業所です。

TOPへ戻る