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理事長コラム~今月のひとこと~

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円環の時間を生きる

2017-02-26
 二十四節気にいう立春、雨水が過ぎ、日差しがずいぶんと明るくなって来ました。小動物が冬眠から目覚める啓蟄(ケイチツ)までは、あともう少しというところまで来ました。
 
 暦上はもう春です。「雨水」(ウスイ)とは、暖かさに雪や氷が解け出し、蒸発し雨水となって降り出すころを指します。先日くれんどで開講した行動援護従業者養成研修の、受講者に見せたビデオの最後で、故吉田正さんが、40年前に滋賀県の止揚学園で暮らす障害者が話したという福井達雨さんのエピソードを紹介していました。
 
 それは、「氷が溶けたら何になる?」という福井さんの問いかけに、障害をもつ園生が「春が来る」と答えたことに感動したというエピソードです。
 
 止揚学園と言うと、私たちの世代には福井達雨の名とともに、60年代後半からの小学校学籍獲得闘争、79養護学校義務化に反対して滋賀から東京までの550キロ平和行進を行ったところとして記憶に残っています。福井達雨の『僕、アホやない、人間だ』『嫌われ、恐がられ、いやがられて 障害児差別と共に25年』などの著書は、未だに色あせていないと思います。
 
 「氷が溶けたら水になる」のではなく、「氷が溶けたら、春が来る」という感覚は、ひとが直線的な時間のなかにのみ生きているのではなく、自然の円環のなかで生きているという存在の原初的な感覚を言い表していることばだと思います。やがて来る春を待ち、夏を過ごし、秋になり、冬になり、また春を待つというくり返しのなかにひとは、喜びと安定を見出すのだと思います。
 
石ばしる/垂水の上の/さわらびの/萌え出づる/春になりにけるかも(万葉集1418)

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