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理事長コラム~今月のひとこと~

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虐待と内なる差別

2017-03-26
 16年6月1日現在の障害者雇用状況によると、民間企業(法定雇用率:50人以上規模2.0%)に雇用されている障害者の数は47万4374人で、前年より4.7%(2万1240人)の増加、13年連続で過去最高となっている(実雇用率1.92%。法定雇用率達成企業48.8%)。
 
 一方、障害者虐待件数(15年度)では、養護者による虐待が1615件(通報4450件)、障害者福祉施設従業者等による虐待が569件(通報2160件)、使用者による虐待が507件(通報848件)と、養護者による虐待こそ横ばいだが、他はいずれも過去最高を記録している。使用者による虐待が、安価な労働力の補てんと社会の差別意識の顕在化にその要因があると言うのは、言い過ぎだろうか。
 
 高齢者への虐待についても3月21日に厚労省が発表した数値では、たとえば介護施設の職員による虐待は15年度中に408件あり、過去最多を更新している。原因は職員の知識不足とストレスが主な要因だとされている。
 
 それはそうだとしても、たとえば相模原障害者殺傷事件のUに思いを致せば、それだけにとどまらない社会のもう一つの本音を見ないわけにはいかない。
 
 U個人にとっては、社会への虚無感や絶望から生み出されたものだとしても、気になるのは、差別を一つの正義としてとらえる風潮の高まりだ。Uは「障害者は不幸しか生まない」としたばかりか、その抹殺に「日本国と世界平和のため」という社会的使命を持ち、首相のお墨付きまで要求している。どこかに明るさを感じて薄気味悪さを感じてしまう。米国のトランプ大統領は「富める者が絶対的な勝者で、それに負けた者は沈んでいろ」と公然と口にしている。
 
 優生思想とひと言で括ってしまうなら、障害者の置かれているこの社会の現実と本音は、その入口と出口を見れば、さらに鮮明になる。
 
 しかし、私たちが障害者と私たちの人生に、それでも、イエスと言えるのは、この社会の効率と生産第一主義、グローバリズム、優生思想に未来はない、と、目の前の人たちとのつき合いから、知っている、確信を持っているからにほかならない。先入観は、まさにつき合うこと、向き合うことから正されていくという思いがなければこの仕事は出来ない。

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