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理事長コラム~今月のひとこと~

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共貧・共生の時代

2018-06-12
 私事だが、今日6月10日は、障害のある娘の誕生日だ。確か32歳になる。そうしたら、昨日6月9日が24歳で死んだやはり障害のある姉の命日だということを思い出した。昨日は、尾道のほうから見学者があり、姉と映っている小さい頃の写真とエピソードを紹介したのだが、命日だということはすっかり忘れていた。その姉は、これまであまり話をして来なかったが、実は、1歳の誕生日に当時住んでいた崖の上の社宅の窓から30メートルほど転げ落ち、知的障害やてんかんなどの障害を負ったと聞いている。「血筋」というものにこだわるこの社会に対する違和感が、これまで障害を負った原因をあまり話さなかった理由である。
 
 それはともかく、娘が生まれたのは6月だったから、水無月にちなんだ名前にした。6月9日の朝方に亡くなった姉の1日後だったので、その後折にふれて、縁のようなものを感じることがあった。因縁を感じるのは、その後の私の人生にとっては、好都合だったのかも知れないと、今は思うようになった。
 
 私事ばかりで申し訳ないが、6月と言えば、もう一つ、「(障害児を)持っとらんもんには分からん(分かってもらえない)」と他者を拒否し続けた母が、6月23日沖縄戦「慰霊の日」に90歳を前に亡くなった。
 
 この6月(6/1)に、居住支援法人の認可と地域生活支援拠点(まるごとネット呉東)の委託が正式に決まったことは、個人的には因縁めいたことを感じて感慨深い。事業内容についてはここではふれないが、実はこれからが大変だ。国は、地域共生社会とか地域包括ケア、我が事・まるごとなどと旗をふっているが、その大きな狙いは、公的サービスの縮小と、(カネを出さない)地域力の強化にある。それでもくれんどは、「地域共生」の看板を下ろさず、当事者とともに「共貧」という意地を持って耐え続け、いつの日か情況を切り拓く糸口をつかむことができるのだろうか。
 
 …ここまで書いて来て、モニタリングに出たついでに、家族墓に寄ってみた。母が死んでから3年、一度も行ったことがなかった。「墓じまい」の契約書を次兄との間で交わし、お互いの行き来もなかったので、とっくにないものと思い、また、行く気もなかったのだが、更地になったところが見たくなって寄ってみた。すると、まだ残っていた。父、母、長兄、姉の墓碑銘が刻んである。家族6人のうち4人までが鬼籍に入ったことになる。没年月日を見ているうちに、ふと気がついた。戦後すぐ1歳で死んだ長兄の墓碑が、6月13日となっていた。父以外はきれいに6月が並んでいる。この長兄が元気に育っていれば、あんたは産まなかったと、小さいころ母から聞かされていたことを、突然思い出した。
 
 また立ちかへる水無月の/嘆きを誰にかかたるべき/沙羅のみづ枝に花咲けば/かなしき人の目ぞ見ゆる (芥川龍之介)

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