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理事長コラム~今月のひとこと~

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よみがえるいのちのその先

2018-08-08
 GLOBE7月号の表題の記事を何とも言えない思いで読んだ。韓国・ソウル市にあるスアム生命工学研究院では、2006年からクローン技術で犬を複製し、これまでに900匹以上のクローン犬を誕生させたという。1匹10万ドル(約1100万円)、目的のほとんどは、死んだ愛犬を復活させることにあったというが、内外の公的機関からは、嗅覚の優れた軍用犬や警察犬の依頼も来るという。
 
 何とも言いようのない思いというのは、一つは、17年間我が家に住み着いた犬が死んで2年が経とうとしているのに、私自身、未だにぐずぐず思いをひきずっているということがある。我が家には親の位牌さえないというのに、犬小屋を片付けられず、さすがに毎日ではないが、週に2回の水替えは欠かしたことがない。
 
 「愛犬がよみがえる」と聞いて、一瞬こんな手があったのかと虚を衝かれた思いもしたが、あとは無性に不快な気分が込み上げてきた。ユウレイでもいいからもう一度会いたい、という気持ちはよくわかるが、「死」に耐え切れず、カネにまかせてクローンを手に入れるとはいかがなものか。いや、カネさえあれば、自分もするかもという不安がより不快にさせたのかも知れない。さらに、仮にクローンが「愛犬に似ていなかったらどうするのか」。実際のところ、失敗例は報告されていないようだ。そこでは、「選別」があたり前のように行われているのだろうか。
 
 もう一つは、悪夢である。1996年、羊のドリーのコピーに英国で成功してから、たった20年の間にこの「成果」を挙げた。そのスピードたるやすさまじい。この間、iPS細胞も開発された。今年の1月には、中国の研究チームが霊長類初となる2匹のサルのクローンに成功した。「遺伝子ドライブ」技術の開発によって、ネズミが増えないようすべてオス化することもできるようだ。遺伝子組み換え食品はすでに出回っている。最悪のシナリオは、不良な個体をはじきながら、食用牛や食用豚を再生産することはもちろん、人口減に対処するための「優秀なる労働力」ヒトの再生産である。まさにSFの世界、デザイナーベイビー時代の到来である。

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