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理事長コラム~今月のひとこと~

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水害への芹沢俊介さんからのメッセージ

2019-09-10
 芹沢俊介さんは、一昨年の12月、くれんどが呉市自立支援協議会の事務局を引き受けたその年の口明け講演に、来てもらった評論家・思想家です。そのときの講演テーマは「存在すること・生きること―相模原事件に触れて」でした。ちょうどその年の7月26日に起きた相模原事件を扱ったお話でしたが、芹沢さんは、講演の最後をこう締めくくられました。
 
 では、なぜ植松聖は3年以上も障害者施設に勤めながら、差し出し、受けとめることが出来なかったのか。それは、その施設のありようが、あるいは職員集団が、カレの持ち来った「疑問」を強固な「確信」に変えたこと、さらにその確信を形成した背景には、今のところ、先の挫折体験と、 刺青(色彫り)という謂わば社会的自己を自ら抹殺した上で障害者施設に入職したということが、わずかに推測されるところである。
 
 今でも慧眼だと思います。芹沢さんは、あの吉本隆明の弟子で、娘の作家吉本ばななとも家族ぐるみで親交のある方です。芹沢さんのお年は、いま70代の半ばです。当時、連絡のために携帯番号だけは交換していたのですが、7月8日の夕方、「ニュースでひどい事態になっていると知りました。大丈夫ですか?心配ですが、無力なので、せめてものお見舞いです」と、2年ぶりに千葉のお住まいからショートメールが来ていて、驚くと同時に元気づけられました。
 
 そうしたところ、今度は7月26日の朝日新聞の「折々のことば」で、哲学者の鷲田清一が、芹沢さんの著書を取り上げてコラムを書いているのを見つけました。さっそく、芹沢さんにやはりショートメールで、元気づけられましたとメールしたら、「お知らせありがとうございます。こんなときでも、読んで頂けるものを、これからも書きたいと思います」と、誠実な芹沢さんらしいご返事がありました。 それで、その「折々のことば」、読んでいる方も多いかと思いますが、以下、全文紹介する次第です。
 
『折々のことば』(2018.7.16 鷲田清一)
<空腹は子どもから「いまここに」おける安心と安定を奪います>(芹沢俊介)
空腹のまま放置するという暴力は、自分がここにいてよいという、子どもの「存在感覚」の核となるものを修復不能なまでに破壊してしまうと、評論家は言う。このことは家族内の虐待のみならず、社会格差による貧困についても言えるだろう。満ち足りたときのその温みが、生きることの歓びを、ひいては人への信頼を底から支える。『芹沢俊介 養育を語る』(事件篇Ⅰ)から。
 
 そうしていたらまた8月の終わりに、豊水なしが、ささやかですがと送られて来ました。ただただ、存在の温もりを感じました。
 
 

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