理事長コラム~今月のひとこと~
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新しき年の口明けに
2018-12-13
蒲団(ふとん)から/首出せば/年の明けて居る
俳人正岡子規の句だ。新春と言っても、昨日が今日になっただけのこと、それにどんな意味を持たせるかは、それぞれでどうぞご勝手に―とでも言いたげな句だ。
かえりみれば昨年の新春、今年はダイバーシティ(多様性)とダイアローグ(対話)を肚(ハラ)に据えていこうと職場の余瀝に書いた。
息苦しい時代だからこそ、組織の内外を問わず、それでも「対話」をおそれないようにしよう。
画一的な価値観の席巻する時代だからこそ、「多様性」を大切にしよう。ダイバーシティは女性や障害者などマイノリティの分野、また、ワークライフバランスなど労働分野でも言われて来た。要するに、国連の言うSDGs-持続可能な社会、地域をつくるのに障害者の存在は欠かせないということだ。持続可能な社会のキーワードは、多様性であり、そのための対話である。私たちは、社会の底辺の一つでつき合い、具体的なカタチにしようとしている。その使命と誇りを共有しよう。
……などなど、いさましいことを書いた。果たして、どのくらいの課題がくれんどのなかで前進したのか。その後の17事業計画の総括と18事業計画の策定を通して、わたしは、わたしなりに、昨年1年のなかで地域生活支援センター、子ども・家族支援センター、地域協働センターそれぞれのセンターで前進させた課題を挙げることが出来るが、どのくらい内実が伴っているのかは、正直なところよく分からない。検証は、これから18事業計画の総括、19事業計画の策定と並行して行われる。切りのない作業とイノベーションがつづく。
わたし自身は、この3月でひとまずの区切りを迎える。同調圧力の高まるなか、一抹の不安がよぎるが、いくら考えても致し方ない。新春ののっけから、ごきげんよう。
散る桜 残る桜も 散る桜(良寛)
捨てられた石がつぎの親石、礎となる(詩編118)