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理事長コラム~今月のひとこと~

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障害者の強制不妊手術と中絶、そして分離と隔離

2019-01-08
 この原稿を書いている12月現在、旧優生保護法(1948~1996年)の下で障害のある人らに不妊手術が行われた問題で超党派の議員連盟の作業チームによる救済法案の作成が進んでいると聞く。
 
 裁判になっていることもあろうが、この問題に対するマスコミや国の動きには「意外に素早い」と感心すると同時に、大きな違和感がずっと拭えないでいる。正直なところ、連日なぜこんなに大きく報道等で取り上げられているのか腑に落ちないもやもやがある。
 
 一方で、新型出生前診断による中絶手術は93%を超え、尊厳死宣言公正証書の作成者も年に2千件を超えている現実がある。つまり、現母体保護法下においても、悠然と、優生保護法・優生思想は生きている。
 
 さらに言えば、障害児学校、支援級在籍児童の増加、公的機関による障害者雇用の水増し問題等々を見ても、この国においてとてもインクルージョン政策が推進されているとは思えない。国民のほとんどが、障害者が生まれることも、妊娠することも、いっしょに暮らすことも、あるいは臥床後の人生も望んでいないのに、表面的な謝罪で免罪しようとする動きだけが目立つ。「自己決定支援の罠」はここにも隠れているように感じるのは、わたしだけだろうか。
 
 2万を超える俳句を生涯に遺した正岡子規は、その代表作のほとんどを病床で詠んだ。結核による塗炭の苦しみにあえいだ子規は、今であれば、それが可能であれば、その苦しみから解放されるために「尊厳死証書」にサインしようとしただろうか。
 
痰一斗/糸瓜の水も/間に合わず

 

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