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理事長コラム~今月のひとこと~

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西暦と元号のあいだ

2019-08-26
 6月だったか、呉ポポロで疾うに旬の過ぎた『グリーンブック』を観たあと、近くのカフェに寄った。コーヒーを注文すると、「令和」と袋の表に印字しているクッキーが出て来た。このカフェに限らず、この類の便乗商法や「令和初〇〇」というキャッチフレーズがやたらと目を引く昨今である。根拠となっている1979年に制定された元号法は、たった2行の法律である。
 
1 元号は政令で定める。
2 元号は皇位の継承があった場合に限り改める。
 
付け加えれば、「元号は国民に強制するものではない」との附帯決議がこの法律にはくっついている。
 
 先代の代替わりの際は、この天皇の代替わりにともなう元号の改定(一世一元制)についてまだしも議論があった。世論調査では、元号存続論より元号廃止論のほうが、法制定以後むしろ増えたという記憶がある。今回は、議論どころか少なくとも表で見る限りは奉祝ムード一色である。この辺りが、日本の報道自由度ランキングが67位(国境なき記者団)と、低い理由の1つなのかも知れない。
 
 「元号は国民に強制するものではない」と、なぜわざわざ附帯決議につけたのだろうか。しれは、言うまでもなく強制が実際に行われているからである。便乗商法やミーハー的な装いを凝らしながら、その強制力の背景にある存在によって、かつて、宗教的マイノリティの弾圧と障害者の「非国民化」が行われた歴史がある。主権在民と思想・良心の自由を謳う現憲法に抵触するという批判も当然にある。
 
 この国際化の時代ゆえにか、面倒な換算や大金を使って改元する意味はどこかにはあるのだろう。しかし、独りよがりな思い上がりが、少数者を撃ち、寛容さと多様性をこの社会がより失っていく危険をはらんでいることを忘れてはいけない。

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