理事長コラム~今月のひとこと~
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社会保障制度の内実
2019-09-29
参院選後に先送りしていた社会保障制度改革をめぐり、政府が秋以降、集中的に議論するための新たな会議を設ける方向で検討していることが分かったと、8月の初めだったか記事にあった。「全世代型社会保障の構築に向けた新たな会議」の立ち上げがそれだ。そういえば安倍首相は、参院選の投開票翌日の7月22日の記者会見で「子どもから子育て世代、現役世代、高齢者まで全ての世代が安心できるものへと社会保障全般の改革を進める」と強調していた。中身は、社会保障費の総抑制である。
具体的に検討されるのは、①公的年金の受給開始年齢の75歳までの上限引き上げ、②75歳以上の医療費負担の1割から2割への引き上げ、さらには、③人口減などの影響を踏まえて支給額を自動調整する「マクロ経済スライド」の発動要件の見直しなどが言われている。
財源について、消費税のさらなる引き上げや3000万円もの自己資金の備蓄=自助努力が言われることはあっても(なかったことになったが)、累進課税や大企業優遇税制の見直しが俎上にあがることは、まったくもってない。こうして、格差はますます拡大し、最近ではこの事態はもはや格差ではなく、階層、さらには階級だという言い方までされるようになった。これが、ときの政権に選挙で「信任を与え続けた」結果だ。