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理事長コラム~今月のひとこと~

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隣人として居続けること

2023-04-20
 同性婚に対する差別発言をしたとして、2/4荒井総理秘書官が更迭された。オフレコとされた発言の内容は、報道によれば、「(同性婚カップルが)隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ。秘書官もみんな嫌だと言っている」というものである。首相が2/1の衆院予算委員会で同性婚をめぐり、「家族観や価値観、社会が変わる課題だ」と答弁したことについての質問に答えたもののようだが、側面援助しようとして墓穴を掘った。

 荒井秘書官の発言に対して、「差別発言!言語道断!」との風潮と評価が一気に高まったのはいいことなのかも知れないが、ただ、現実はまったく追いついていないようにも思う。同性婚カップルを障害者に置き換えてみればよく分かる。LGBT関連法案どころか、障害者基本法や障害者差別解消法はすでに存在しているが、障害者に対する差別・偏見は日常的にあり、政策も、出生前診断や精神科病院への収容、分離教育の拡大を見れば分かるように、もう一方の本音として障害者に対する差別、隔離・分離政策は厳に維持されている。

 今年の1月にも、知的障害のあるカップルがグループホームで暮らし続ける場合に、不妊処置を条件にしていた北海道江差町のあすなろ福祉会の人権侵害が大きく報道されたが、それに対して、くれんども目標の一つにしている大阪のパンジーの機関誌「パンジーだより」(23.2.13号)では、あすなろ福祉会を批判しながら、グループホームで暮らしている女性の知的障害者の出産を支援したケースの紹介をしていて、少なからずショックを受けた。私の36歳になる娘がかつて「なんで、姉ちゃんのように結婚したり、赤ちゃんを産んだり出来んの⁉」と責めたことがあったからだ。なかなか問題が身近になると、正直考えたくない自分もいたりする。

 総論賛成、各論反対ということはよくある話である。しかし、「隣に住まれたら嫌だ」という各論反対の発言に対して、「言語道断」として切り捨てる、つまりフタをするだけでは解決の道すじは見えて来ない。本音を隠したまま、お題目を唱え続けていても、社会は変わらないのだ。一歩を打ち破る何がしかの実力行使が必要になる。

 その一つ。嫌がられながら、嫌われながら、それでも、無理にでも、隣に住み続けることから関係をつくり、あるいはつくり直していくことがその一つだ。ネガティブな言い方をすると、地域社会で排除できない以上、だれかが隣人になるほかないということだ。ポジティブに言えば、だれかが隣る(トナル)ことで、社会的マイノリティに対する理解も広がり、社会も変わって行くのではないかという希望だ。そうして、私たち支援者としての仕事も、生活もまた、そうして始まり、紡がれてきた。

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