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理事長コラム~今月のひとこと~

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目出度さもちう位也おらが春

2023-01-19
この年末、ひさしぶりに小林一茶の『おらが春』を開きたくなって家の中を探すが見つからない。それで、広島へ出て2,3の書店を回ってみたが見つからず、結局ネットで注文することにしたが、ひさびさの書店歩き、それなりに楽しかった。

我と来て遊べや親のない雀

 一茶の人生(1763~1827)はねじれ、たぶん性根もねじれている。そこに魅力がある。一茶は、信濃の国(長野県)の農家の一男として生まれるが、3歳のときに母親が病死する。継母とその子との折り合いが悪く、ついには15歳のときに江戸に奉公に出され、言うに言われぬ苦労を重ねたという。父亡きあとは相続をめぐって10年以上も争いが続き、51歳でやっと和解が成立。翌年郷里に戻って妻を迎えた。

 3人の子どもにめぐまれたものの次々に他界、『おらが春』を編んだ1819年は、それでも4人目の子がふたつ(今の1歳)を迎え、比較的穏やかな時期だったと言われる。

這へ笑へ二ツになるぞけさからは
雀の子そこのけそこのけ御馬が通る

 しかしそれも、長くは続かない。その年の6月にはその子・さとは、疱瘡にかかって亡くなる。

露の世は露の世ながらさりながら

 一茶の最期は、火事で家が焼け、仮小屋に避難している間の病死。享年65歳。その時、3番目の妻は妊娠していて、やがて生まれたこの5番目の子だけは長じて明治の代を迎えたという。

目出度さもちう位也おらが春

 『おらが春』のタイトルにもなった有名な句だ。「ちう位」とは「中位」という意味ではなく、いいかげん、とか、どっちつかず、という意味の方言とのこと。世間はめでたいのかも知れないが、こっちはそんなことはない。一方で、無事に年を越せたという安堵感もどこかに感じられて、そんな一茶のねじれ方、世間との距離感に魅力を感じる。

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