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理事長コラム~今月のひとこと~

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強制入院や分離教育の廃止勧告を前にして

2022-10-25
 国連の障害者権利委員会はスイスで8月末、日本が2014年に障害者の権利条約を批准して以来初の対面審査を実施し、9月9日に日本政府に対する勧告を出した。批准までに8年もかけながら国内法の整備を怠り、世界で141番目の批准という人権後進国との指摘にもすでに開き直っていたのか、権利委員会から、精神科病院への強制入院や障害児を分離する特別支援教育の見直しを求められても、厚労省の代表団は、「日本の施設では、桜を施設の外や中で楽しみ、ピクニックをする方もいます」とうそぶき、文科省の担当者は、「通常の学級に通うか特別支援学校に通うかは本人や保護者の意見を最大限尊重している」と虚偽にも等しい答弁をしたという。

 日本には「差別を禁じる法律がない。死刑を含めて刑事司法制度が遅れている」と言ったのは、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW)の代表ケネス・ロスだが、ザル法となっている「障害者差別解消法」についても権利委員会は、その見直しを勧告した格好だ。

 こういった背景のなかで、くれんどの置かれた状況と使命をどうとらえればいいのだろうか。くれんどの成り立ちにさかのぼれば、まずは行くところ、居場所をつくることだった。しかし、そうしたくれんどの事業が単に中途半端な居場所の提供であったり、個別救済にとどまるなら、地域社会のなかにあっても、自らを限りなく内向きにし、国の隔離・分離政策を補完するものにしかなっていかないだろう。

 くれんどは、そういう意味で、地域における生活支援拠点として障害者市民のくらしを創出する一方、地域社会を場合によってはリメイクするソーシャルファーム(社会的企業、支援付き雇用)などのビジネスモデルをつくろうとしてきた。くれんどへたどり着いた、くれんどへ来るしかなかった障害者市民が、そのことを逆手にとって地域社会へうって出る、もう一つの地域社会を展望するソーシャルイノベーション、ソーシャルインクルージョンの拠点とする取り組みだ。

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