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理事長コラム~今月のひとこと~

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「夢見る学校」とくれんどの物語

2022-07-18
 いまどき、「夢見る学校」なんてファンタジーな学校が日本にあるわけない、ただの人寄せタイトルだろうと映画『夢見る小学校』を観てみたら、本当にあった。しかも、その系列の学校だけで全国に5つもあるという。フリースクールではない。

 おとなはいるけど「先生」はいない、「学年」がない、「テスト」がない、「成績通知表」がない―授業の6割くらいが「プロジェクト」と呼ばれる体験型共同学習で、そのひとつ南アルプス子どもの村小学校のプロジェクトには、「むかしたんけんくらぶ」「おいしいものをつくる会」「アート&クラフト」「クラフトセンター」「劇団みなみ座」の5つのプロジェクトがあり、自分のやりたいプロジェクトをひとつ選び、タテ割りの集団で1年間学ぶ。「楽しい」を徹底的に追及する。

 映画では南アルプス子どもの村小学校のような私立学校だけではなく、成績通知表や時間割がない体験型「総合」学習を60年以上も続けている長野の伊那小学校や、世田谷の桜丘中学校など公立学校の取り組みも紹介している。こうした取り組みが、今の日本で一定の広がりを持っていることに驚いた。

 ところで、『夢見る小学校』の監督・オオタヴィン(大田敏和)は、この映画制作の前に『いただきます1 みそをつくるこどもたち』と『いただきます2 ここは、発酵の楽園』をつくっている。自分たちでつくったみそを食べて元気になる保育園や、地元JAとタイアップして市内の小中学校でオーガニック米給食を始めた千葉県いすみ市の取り組みなどが紹介されている。自主上映などの機会があればぜひ観たいと思う。

 『いただきます1,2』のエンディングソングは、坂本美雨withCANTUSが歌う宮沢賢治作詞作曲によるところの『星めぐりの歌』だ。YouTubeでも聴くことが出来るが、一節を紹介する。

あかいめだまの さそり/ひろげた鷲の つばさ/
あをいめだまの 小いぬ/ひかりのへびの とぐろ

 祈りと夢想と科学的な賢治らしい思考の片鱗が見えるように感じるが、有名や『雨ニモマケズ』には、次のような一節がある。

一日ニ玄米四合ト/味噌ト少シノ野菜ヲタベ
 
 これを、食品栄養学に基づいてどのくらいの栄養が取れているのか計算してみた人がいる(渡邊昌監修『玄米のエビデンス』)。それによれば、エネルギーは2100kcal、タンパク質は44g、脂質18g、炭水化物457g、ビタミン、ミネラルは厚労省の基準の数倍というきわめて健康的な食品を、この雨ニモマケズの主人公「デクノボー」(賢治のメタファー)は摂っていたことになるという。

 くれんどでも、3年後の開設をめざして、地域協働センターを中心としたくれんどの中核センターの建設プロジェクトを昨年から立ち上げている。『夢見る学校』や『いただきます』のように物語のあるプロジェクトになるかどうかは、今あるメニューの方向性、帰すうにかかっている。

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