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理事長コラム~今月のひとこと~

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強度行動障害支援者養成研修・基礎研から

2022-03-23
 3/12,13の2日間、今年度最後の強度行動障害支援者養成研修・基礎研修を、ジョバンニを会場に開いた。受講者は17名、3名の所内スタッフで担当した。2日間の講座の1コマを報告したい。

 チームプレイの必要性について、テキストにはこう書いてある。
「強度行動障害の方への支援は、本人の生活の様々な場面や、本人の人生のそれぞれのライフステージにおいて関わる支援者が、本人を中心としたチームの一員として、同じ方針に沿った統一した支援をすることが大切です」

 「生活の様々な場面やライフステージのすべてにわたって、同じ方針に沿って統一した支援をする」―たとえば、見通しを立てる際にスケジュールカードを用意してみんなで取り組むこと、そのことに反対しているのではもちろんないが、一方で、こういった言い回しには違和感を覚える。

 一つは、障害者の場合、歴史的にはしばしば健常者の価値観に基づいて、一つの方法が押し付けられて来た歴史があるからである。60年代から70年代にかけての脳性マヒ者に対する手術、数々の強制的な訓練、ろう者に対する70年間にわたる口話教育などがそれである。今では、医学モデルとか個体還元論とも言われるものだが、その内実は、旧優生保護法(第1条:不良な子孫の発生を予防する)に典型するような言わば「多数者による善意のジェノサイド」だったことを忘れてはいけない。

 もう一つは、その支援方法がうまく行かなかったときのフォローがないことである。たとえば、構造化の取り組みで、テキストでは再構造化までは出てくるが、その後の対処は出て来ない。一方、現場ではそれでもなかなかうまく行かないときのほうが多い。それでも、硬直化した支援方法が一人歩きしたら、現場はどうなるか。結果は容易に想像できる。

 テキストの前の版では、実は「ひとりで悩まないで」という支援者ケアが、1章設けられていた。支援には困難がともなうことが多い、共感・受容の強調は支援者を追いつめる等々困難な対人支援現場に対してのフォローがあった。うまくいかないことのほうが多い、それでもチームで、その状況に堪えながら、当事者の思いや生い立ち、社会からの視線を想像しながら、みんなで何か取り組んでみようというのがチームアプローチであり、ネガティブケイパビリティ(答えの出ない事態に堪える力)なのである。―そんなことをチームアプローチでは話した。

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