はじめに
障害者総合支援法の改正により、2024年4月1日から、基幹相談支援センター(以下、基幹という)の設置及び地域生活支援拠点等(以下、拠点という)の整備が市町村の努力義務(呉市では16年モデル事業開始、19年から4拠点体制)となり、自立支援協議会(以下、協議会という。呉市では08年に整備)についても、地域課題の抽出及びその解決を図る機能を促進するための改正が行われました。
基本的には、障害者の権利条約の批准を始めとする地域移行の流れや、そのための相談支援体制の強化を始めとする体制整備の必要が背景にあると考えられます。
そのため、協議会・基幹・拠点の運営は、①3機能の有機的な連携と、②地域課題の抽出、③課題に応え得る部会編成等の機構改革が求められていると言えます。
くれんどは、呉市と国・広島県から以下のように5つの委託事業(地域共生事業にかかる呉市からの委託事業を除く)を受けています。
呉市自立支援協議会
呉市の自立支援協議会とは
協議会の目的は、「(福祉・雇用・教育・保健医療・関係行政等の)関係機関に構成される協議会に、地域の関係者、当事者団体が集まり、個別の相談支援等の事例を通じて明らかになった地域の課題を共有し、その課題を踏まえて、地域のサービス基盤の整備を進める」ことにあります。
具体的には、
- 個別事例のあり方に関する協議・調整
- 地域課題の抽出、把握や共有
- 地域における相談支援体制、福祉サービス等の整備状況や課題等の抽出、把握や共有
- 地域における関係機関の連携強化
- 社会資源の開発・改善等の地域課題への対応、取り組み
- 市町村障害福祉計画及び障害児福祉計画の策定への参画
- 都道府県協議会との連携
にあります。
自立支援協議会の活動
呉市では現在、定例会・全体会のほか、ケアマネジメント部会、こども部会、しごと部会、くらし部会の4つの専門部会を持ち、講演会や映画上映会などの啓発事業にも力を入れ、障害福祉の前進に取り組んでいます。
呉市基幹相談支援センター
基幹相談支援センターとは
基幹の目的は、「協議会活動・地域づくりを推進し、地域における相談支援・人材育成・拠点の強化、権利擁護の推進などにより総合的・専門的な相談支援体制を構築する」ことにあります。
具体的には、
- 総合相談・専門相談
- 地域の相談支援体制の強化、後方支援(主任相談支援専門員)
- 協議会活動・地域づくりの推進、拠点の基盤強化(拠点コーディネーター)、研修等人材育成支援
- 権利擁護・虐待防止(障害者虐待防止センターの一部運営)の推進
にあります。
基幹相談支援センターの活動
- 呉市内外の総合相談窓口として、協議会・4拠点の運営を始め、関係諸機関と適時連携をはかっていきます。
- 主任相談支援専門員・拠点コーディネーターの役割機能を発揮して、拠点・ネットワーク会議(相談小部会)や協議会・ケアマネ部会を通しての相談支援体制に係る後方支援を行い、また、緊急時支援・地域移行等拠点の基盤強化や協議会活動の推進、地域体制の整備をはかっていきます。
- 福祉関係養成講座の開催等人材養成に努めるとともに、虐待防止センターの一部受託や関連する研修開催を通して、人材の定着と確保につなげます。
呉市地域生活支援拠点事業
地域生活支援拠点(まるごとネット呉)とは
拠点の目的は、「障害者の重度化・高齢化や親亡き後を見据え、地域居住のための機能(断らない相談、緊急時の受け入れ・対応、地域移行・地域定着、体験の機会・場、居住支援、地域の体制づくり)を、地域の実情に応じた創意工夫により整備し、障害者の生活を地域全体で支えるサービス提供体制を構築する」ことにあります。
具体的には、
- 相談支援(居住支援)
- 緊急時対応
- 地域移行・地域定着(体験の機会・場の提供)
- 専門的人材の確保、養成(基幹相談支援センターのバックアップ)
- 地域の体制づくり(拠点コーディネーターの配置による基幹相談支援センターや協議会との連携)
にあります。
まるごとネット呉の活動
- 毎月1回の連絡協議会を持って実績報告(ネットワーク会議・居住支援法人・事例検討会報告含む)と情報交換を行い、課題整理につとめます。体制整備へ向けた「評価シート」はひき続き実施し、地域移行・地域定着等拠点に求められている課題に答えられる基盤整備に努めていきます。そのために、主担当者の計画相談等の業務は、月20件(モニタリング15件+新規・更新5件)以下とし、ピアサポーターや、手話・点字対応など専門的な人材の配置については、基幹相談支援センター受託事業所から徐々に拡大していくことを目標とします。
- 定例会とは別に、毎月事例検討会を持ち、また主任相談支援専門員のフォローアップ研修や定期的なスーパーバイズの場を持って相談のスキル向上につとめます。事例検討会には委託相談支援事業所ならびに重層的支援推進室にもひき続き出席を要請し、外部スーパーバイザーの招へいの際には、協議会ケアマネ部会等への案内を行います。
- 地域の体制づくりに係るネットワーク会議については、基幹との連携の下、①年4回以上の地域ネットワーク会議の開催と、②相談小部会の開催、エリア内相談事業所のバックアップ、③地域体制強化共同支援会議(個別ケース会議)の随時開催をすすめていきます。会議には、重層的支援体制の整備も視野に、必要な関係者・関係団体の出席を求めます。
パンフレット

まるごとネット呉