当事者活動とは
当事者活動とは
くれんどでは、重度の障害があっても、誰もが自分らしい地域生活ができる社会を目指して、障害当事者を中心としたさまざまな活動に取り組んでいます。
所内で毎月行われる「しゃべろう会」では、メンバーそれぞれの障害について、自分たちが日ごろ感じている差別や偏見のこと、自立生活をしているメンバーの体験談など、毎回テーマを決めて話し合ったり学習会を開催したりしています。運営も当事者が中心となって行っています。
話すことが好きなメンバーばかりではありません。人前では緊張してうまく話せないメンバーや、話すことに苦手意識があるメンバー、そもそも話すことができないメンバーなど、当事者同士でも「話すこと」に対して温度差があります。運営に携わっている当事者自身も、毎回悩みながらテーマを決めたりやり方を工夫したりしています。
また、3か月に1回のペースで、当事者の代表者とくれんどの代表者が集まり、意見交換会を開催しています。事業所側は日々サービス提供を行う中で、知らず知らずのうちに「当事者不在の決定」や「支援という名の管理」に陥りがちです。この意見交換会は、改めて当事者の声に耳を傾け、サービスや支援が事業所側の独りよがりにならないように気付きを得る良い機会となっています。
各団体の活動内容
ろう者の会「でふらく」
身体障害者の会「楽人の会」
知的障害者の会「PF(ピープルファースト)クレの会」
自立生活プログラム(ILP)
自立生活プログラムとは
自立生活プログラムとは、障害を持った当事者自身が自立生活に必要な心構えや技術を学ぶ場です。
「介助者との関係」や「福祉サービス制度について」「金銭管理」「外出プログラム」など、自立生活に必要なあらゆることがプログラムとして提供されます。
2024年度 自立生活プログラム
施設入所をしているOさんが、2024年度春から施設を出て一人暮らしすることを目指し、自立生活プロジェクトに参加されました。
自立生活の先輩である当事者の方々にご協力いただき、それぞれのご自宅を見せていただいたり、介助者にどんなふうに指示を出して家事や介助をしてもらっているか、生活費はどのように管理しているかなど、たくさんのことを学びました。
「難しい~!」と何度もくじけそうになりながらも、持ち前の明るさと「とにかく一人暮らしがしたい!」という強い思いで乗り切り、2024年11月26日、ご自身の誕生日に晴れて一人暮らしを始めることができました。
その後も、介助者さんとのトラブルや金銭管理の難しさ、また、地域で頼れる家族や友人が居ない寂しさなど、さまざまな課題に直面していますが、引き続き先輩当事者の方にアドバイスをもらいながら今日も頑張っておられます。
2021年度 自立生活プログラム(買い物・調理)
2021年2月12日、筋ジストロフィーを持ちながら地域で一人暮らしをしている“地域生活のパイオニア”中井泰治さん宅にて、Hさんの自立生活プログラム(買い物・調理)を実施しました。
事前に中井さんとHさんでメニュー(豚汁・味噌汁)や食材の量を相談し、当日はジョバンニからHさんを迎えて買い物へ出発。スーパーではリストを見ながら、賞味期限や値段、食材の量などを一つひとつ中井さんに確認しながら選んでいきました。調味料売り場では、醤油の多さにHさんも驚いている様子でした。
買い物を終えて中井さん宅へ戻り、いよいよ調理開始。Hさんは米を研ぐなど自分でできることは自分で行い、包丁を使う場面や味付けでは中井さんに相談しながら、自分で判断してスタッフに指示を出す形で進めていきました。調理は順調に進み、18時過ぎには食事がスタート。自分で作った料理は格別だったようで、「おいしかった」と満足そうに話されていました。
食後は「車いすあるある」など、Hさんと中井さんの間で盛り上がる楽しい時間もあり、振り返りでは「何かを選ぶのが苦手だけど、たくさん考えて疲れた」と言いつつも、表情はどこか満たされているように見えました。
今回、Hさんの介助に入りながらプログラムに参加したスタッフ自身も大きな学びがありました。普段の支援では「〇〇した方がいい」など、つい助言しすぎていたことに気づきました。良かれと思ってかけた言葉が、当事者にとっての“考える機会”や“達成感”、“失敗の経験”を奪っていたのかもしれません。
ただ見守るだけでなく、「なぜ選べないのか」「決めることが苦手なのはなぜか」といった生活歴にも目を向けながら、当事者とどう向き合っていくかを改めて考える機会となりました。
事前に中井さんとHさんでメニュー(豚汁・味噌汁)や食材の量を相談し、当日はジョバンニからHさんを迎えて買い物へ出発。スーパーではリストを見ながら、賞味期限や値段、食材の量などを一つひとつ中井さんに確認しながら選んでいきました。調味料売り場では、醤油の多さにHさんも驚いている様子でした。
買い物を終えて中井さん宅へ戻り、いよいよ調理開始。Hさんは米を研ぐなど自分でできることは自分で行い、包丁を使う場面や味付けでは中井さんに相談しながら、自分で判断してスタッフに指示を出す形で進めていきました。調理は順調に進み、18時過ぎには食事がスタート。自分で作った料理は格別だったようで、「おいしかった」と満足そうに話されていました。
食後は「車いすあるある」など、Hさんと中井さんの間で盛り上がる楽しい時間もあり、振り返りでは「何かを選ぶのが苦手だけど、たくさん考えて疲れた」と言いつつも、表情はどこか満たされているように見えました。
今回、Hさんの介助に入りながらプログラムに参加したスタッフ自身も大きな学びがありました。普段の支援では「〇〇した方がいい」など、つい助言しすぎていたことに気づきました。良かれと思ってかけた言葉が、当事者にとっての“考える機会”や“達成感”、“失敗の経験”を奪っていたのかもしれません。
ただ見守るだけでなく、「なぜ選べないのか」「決めることが苦手なのはなぜか」といった生活歴にも目を向けながら、当事者とどう向き合っていくかを改めて考える機会となりました。