事務局長コラム

閉ざされた場とするのか、それとも再生の場、 地域社会へ開いていく場とするのか

2026-02-13

 10/14の協議会講演「思春期の性、ジェンダーにどう向き合うか?~すぐに始めていきたい命と性の情報提供」、10/22のくれんどスタッフ会「療育と地域」、10/23の子ども家族・相談との懇談会「(児童発達)センターの意義」、さらに年が明けて1/17の家族学習会「児童期からの家族の役割とこれから先のことで(本当は考えたくないけど)家族として気になること」と、立て続けにコンサルテーション森の入口の金丸博一さんに講演や懇談の場を設けてもらいました。よくこれだけの無理難題を快く引き受け、短時間で分厚い資料まで用意され、さわやかに整理してもらえたと感謝に堪えないところです。今後、少しずつでも形にしていきたいところですが、今日は、それぞれの場を通して私自身が感じたこと、今後のくれんどの事業目標、運営に生かせそうな点について書いてみたいと思います。

 私はよく「必要悪としてのくれんど」ということばを使います。これは「くれんどに来たくて来ている人はいない。だから存在としては悪。しかし現実には必要とされている」という意味です。この裏側には「地域社会に生きることを始め人生の選択肢を奪われて、くれんどや入所施設や障害児学校等々の場に行かざるを得なかった」という意味があります。

 ここでの「必要性」は、受け皿を用意するという意味で、共育・共生をうたう側からすると、どちらかと言うと、否定的、ネガティブに語られることが多いと思います。もう少し、積極的、ポジティブな意味は見つけられないものでしょうか。

 その一つのヒントは、当事者集団の保障ということと、多様なそれぞれのありようが肯定、承認されるということではないかと思います。存在の承認という点で、あるいは地域への入り口として、くれんどのやるべきことはあると考えています。

 この点に関連して、10/14や10/22、23の金丸さんの講演でもっとも心に残ったのは、「情報からの疎外、阻害」「経験からの疎外、阻害」という視点、「療育」の場で本物に出合ってもらうという視点です。問題は情報と経験から疎外されていること。知的に重い、見えないものの想像が苦手なのであれば、より時間をかけて情報提供と経験を重ねていくことが必要だということ。当事者は、情報へのアクセスと社会経験から疎外されている、つまり人権が損なわれているという視点から療育内容を見直していくべきだという視点を、金丸さんの講演から学びました。

 もう一つ重要な論点は、金丸さんのお話しされたある子どもさん(非定型発達児)の「丸窓(or枠)」エピソードです。この「丸窓(or)エピソード」に象徴されるように、定型発達者と非定型発達者は、見ている世界が違う。そして、そのことを知りリスペクトを持つことは、もう一つの世界を持つ人たちとの、多様な社会の可能性を示唆するものになります。

 この視点は、「療育か地域か」という形式的な二項対立を超えます。地域の窓口としての「児童支援(センター)」の支援にかかわる大きな柱にもなります。くれんどの支援内容の柱は、「存在の承認+居場所の保障、情報+経験(+しごと)の保障」。くれんどのコンセプトは「行くところ」「すること」「帰るところ」ですが、することの内容は、①掛け値なしの存在の承認、情報・経験の機会の保障と、②当事者(ピアサポート)から地域・社会へ向けたメッセージ、代弁の発信―というようにふくらんでいきます。私たちが何を発信していくのかという基本の枠組みのイメージは金丸さんの話からつかめたと思っています。

(小河 努)

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