ろう者ですけどなにか?~私が受けた差別~
2023-09-27
カンパネラの雑貨屋amiを担当している尾濱と申します。8月のスタッフ会で「ろう者ですけどなにか?私が受けた差別」、ウソのようで本当にあったことをお話しさせていただきました。
カンパネラとジョバンニのしゃべろう会で、広島マツダの従業員が障害者のマネ動画を投稿したことについてや「揶揄するつもりはなかった」という謝罪の発言について話し合いをしました。その中で、「尾濱さんはどんな差別を受けたことがあるだろうか、あれば聞きたい」と頼まれたことがきっかけで、それぞれのしゃべろう会でお話しさせていただきました。しゃべろう会で自分が受けた差別をいくつか話すのは初めてでした。差別を受けて自分が傷付いた話を人に話すのは大変つらいことです。経験話を話したくないという方もいますが、私は話したくない、隠している訳でもなく、話す機会が今までなかっただけで、逆にみんなに知ってもらいたいとずっと思っていました。
ちなみに、広島マツダは聴覚障害者が就職する率が高く、ろう者同士の間ではよく知られています。
しゃべろう会で話した内容をスタッフ会で紹介しました。ここでは、一部紹介します。
- 子どもの頃、駄菓子屋のおじさんにおつりをもらえなかった
(私が聞こえないと知っていて)聞こえないからおつりのことは分からないだろう、言い返ししないだろうとバカにされたこと。
- 親戚の人に腐った食べ物を出された
祖母の葬式で集まった親戚のおばさんに、黒い食べ物(腐敗した食べ物)を出され、断るのは失礼と思い食べてしまった。その後、嘔吐と下痢になり、祖母の最後のお別れができなかったこと。
- アルバイトで何年間も働いたのに研修期間の時給のまま
研修期間が終わったのに、研修期間の時給でもらっていた。「あなたは、電話ができないからその時給が妥当だ」と言われたこと。
- フードを注文すると「お金を持っていますか?」と聞かれた
注文したい内容(メニュー)をメモに書いて店員に渡しただけなのに、お金を持っていないと思われたこと。
- 教育実習先で…
当時の校長先生から、実習の受け入れ前の面談を行いたいから来いと呼ばれた。「聞こえないあなたが、障害児に何かあった時、この子を守れるのか?」「どうやってコミュニケーションをとるつもり?」「実習したからって単位をあげるかどうか分かりませんよ、それでも実習をしますか?」などと意地悪な質問をされたこと。最後の最後まで偏見を受け、実習終了日には「聞こえないのに(くせに)実習を最後まで頑張りました」と言われたこと。
しゃべろう会でもそうですが、スタッフ会で自分の体験を話していると、「されたことを今でも覚えている、でも相手は一瞬の出来事で忘れているんだろうなぁ」と不思議な感覚と同時に、その時の自分を忘れまいとあらためて思いました。こんなことされて、つらい、悔しい気持ちを持つことは悪いことではありません、むしろいいことなんです。「悔しさこそ、社会を変える原動力」だと思っています。
私にとって貴重な時間となり、話を聞いてくださったみなさんありがとうございました。
(おはま)
尾濱さんの話を中心に中岡さんや小野さんにも自身の体験について話してもらいました。
中岡さんからは、大学までずっと健聴者の中で育ってきて手話やろう者の仲間を知らなかった。きっと自分にも差別や偏見はあったと思うが、その時は気付かなかったことや聞こえないからと諦めていた部分もあった。その分、手話やろう者と出会った時にはカルチャーショックを受けたし、「おかしいと思ったことはおかしいと言っていい。そのことは聞こえないこととは関係ない」と学んだと話がありました。
小野さんからは、柔道整復師になりたいと思って専門学校に通いたかったが、聞こえないことを理由に複数の学校から入学を断られ、夢も諦めなければならなかった。また、大学生の時に介護福祉士の養成課程で施設から実習の受け入れはしてもらえたが、コミュニケーションを理由に途中で実習が中止となった話もありました。
差別を受けたことで、自分はダメなんだと思い込む人たちも居るという話もありましたが、一方で演題から感じられるようにろう者として誇りをもっている尾濱さんの姿や話、中岡さんのエピソードにもあったように当事者である仲間(ピアグループ・でふらく会)の存在が大きいことを感じました。
(まつふじ)
