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理事長コラム~今月のひとこと~

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もう一つの家族

2022-01-17
 昨年の話になるが、同僚の紹介で『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ著)を買い、ついでにちょうど公開中の同名の映画も観た。確かに、母親が2回、父親が3回と変わりながら、「どの親もいい人だったし、私を大事にしてくれた」(優子)ととっても前向きで、育てるほうも「自分じゃない誰かのために毎日を費やすのって、こんなに意味をもたらしてくれるものなんだって知った」(森宮)と、ある意味歯が浮くほどの明るさながら、どこかでそうあればいいなという気持ちにさせてくれる、さわやかな物語だった。

 やはり本屋大賞を取った『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ著)は、さらに絶望的な家族の中で呻吟しあるいはその傷を引きずる子どもたちの、その後の出会いと再生の物語だ。52ヘルツのクジラとは、他の鯨が聞き取れない周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ―という孤独な子どもたちのぐう意として描かれる。その声なき声が届き、ひびき合う世界があるのだという希望が語られる。

 仮に「親ガチャ」であっても、子どもにはその後の長い人生がある。そのなかでPTSD(心的外傷後ストレス障害)というトラウマ体験を受けたのであれば、PTG(心的外傷後成長)という回復機会もまた必ずある。くれんどもまた、そういったバトンの回復過程に伴走する「正統的周辺参加」の一翼を担うことができれば―という気持ちを呼び起こしてくれる2冊の本だった。

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