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理念とコラム

気づきを持つということ

2012-10-27
 ベルンハルト・シュリンクの『朗読者』(新潮文庫)をご存じでしょうか。
 
 この作品は、あの『タイタニック』のヒロイン、ケイト・ウィンスレット主演で2008年に映画化(邦題『愛を読むひと』)もされた作品で、15歳の少年と36歳の女性との間に起こった切ない恋物語として読むことも出来るし、ハンナという一人の庶民がどう戦争犯罪というものに加担していくことになったのかというナチス時代の負の歴史を、ドイツ人自身が総括した一つのエピソードとして読むことも出来ます。
 
 ある研修会の事前課題で、この作品から「気づき」ということをキーワードに、読み解くことを求められました。私自身は、主人公のミヒャエル自身が、少年時代、当時つき合っていたハンナに「朗読」させられていたその意味を、戦争犯罪で逮捕されたハンナの裁判の傍聴中に「気づいた」ところから感想を書きました。ハンナは字が読めなかった。そして、それは、ハンナが命をかけてまで守らなければならない絶対の「秘密」でもあったと思えました。実際、ハンナは釈放のその前日に、刑務所で自死します。人には、他者に踏み込んでほしくない領域というものがあります。
 
 実は、この課題にはネタ本があります。厳しいことで有名な「臨床ワーカー」である奥川幸子が『身体知と言語』(中央法規出版)という分厚い本で紹介しているエピソードの一つです。ケアワーカーにしても、ソーシャルワーカーにしても、私たちは、相手のプライバシーを侵略していることにまず気づく必要がある、他者の秘密を暴露することの怖ろしさに気づきを持つことがソーシャルワークの出発となることを、このエピソードで奥川幸子は説いています。

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